2010年2月9日火曜日

「se・きらら」から見えた商品戦略

こういったブログ記事を見つけました。

「18禁のエロゲ 『se・きらら』 が3月に無料配布されるぞー!!:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)」
http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52198031.html

この「se・きらら」は通常版を無料配布とし、初回特典版を2800円で販売します。商標はフィギュア制作を事業とするMAX FACTORYが持ちます。
初回特典では「se・きらら」のキャラクターをMAX FACTORYの看板商品であるfigmaシリーズというアクションフィギュアにして同梱します。
この無料配布されるゲームにはクオリティを下げるようなことはしていないと主張されています。

このゲームはいわゆる美少女ゲームというものです。この美少女ゲームというのは実に独特です。
美少女ゲームは一般的にクオリティに対して高額に設定されています。おおよそこの手のゲームはイラスト付きの小説で、時折出る選択肢をクリックして読み進めていくもので、一般常識から言えばボッタクリです。「地雷」と呼ばれるがっかりするようなものも多いです。しかしそれでも分かって買う人もいるということで、ニッチであるから高額でも納得されるのです。
美少女ゲームは当たったとなるとすさまじいメディアミックス展開がされます。その代表としてフィギュアがあります。美少女ゲームを題材としたフィギュアは毎年何点も発表され、専門店や家電量販店に足を運べばその種類と数に驚くことでしょう。そしてフィギュア機能や原材料に対しては高いものが多いです。メディアミックスの例としてアニメ化、マンガ化、キャラクターグッズなどがあります。
そしてゲームが話題作となれば同人作家の二次創作のモチーフとして大いに抜擢します。「物語の先」という表現がいつかどこかで目にしたのですが、これの意味することは一旦終えた話をファンが創造してくれるということです。この二次創作同人作品というのはまさに「物語の先」で、結末したゲームのストーリーをさらに進めたり、サイドストーリーを足したりします。これにより商品寿命は伸びるか、またさらに魅力的な商品に成長する可能性もあり得ます。この同人作品の市場としてもっとも巨大なものにコミックマーケットがあります。コミックマーケットは半年ごとに開催されることから、認知された商品価値は半年間の確約を得られ、また作家にもハイクオリティを出すための十分な製作期間があり、回れば価値はますます膨らみます。

今回の無料配布にはターゲットを一気に広げる効果があります。
無料というパワーは今まで関心の無かった者から、「地雷」を恐れて手を付けるのがレビューが溜まってからと考えている人もすぐにゲームをプレイできます。どれぐらいかの規模は分かりませんがオタクブームからしばらく経ち、当時のノリでオタク化してしまった人はほとんどが18歳以上となっているはずです。規模は当時より増えています。
さらにfigma同梱版を販売することでオトク感もありますが、ゲームだけで満足していたユーザーも取り込める可能性があります。

同梱しているのがfigmaであるということが強いです。
figmaの価格は2800円程度に統一されフィギュアにしてはかなりの安さです。
数を売りたい価格なので無料のゲームとセット販売することでさらに購買欲を誘います。
そしてキャラクターは一人ではなく、すでに一体持っているので別のキャラを欲しくさせます。安いので購買への心理障壁もさほどないでしょう。

こうして無料により認知を得て、高い話題性を確立し、同人などの周辺環境を大きく巻き込んだ商品戦略が見えるのです。

ここでもう一つおもしろいのが、ゲームをフィギュア制作会社が主導することで初期のフィギュア関連の商品発表タイミングをほぼ全て握ることに成功した点と、競合他社に商標という参入障壁を築くことに最高したのが実にうまい!
某B社もアニメ媒体で同じことをしていますが、今回は美少女ゲームという着眼がフィギュアという業界とシナジーを生む面白い事例だと思います。
問題はゲームのクオリティですね。公開を待ちます。

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